塗装と呼ぶな――RØDEの傷のつかないマイクの秘密
「正しく仕上げたいなら、自分でやるべきだ」という古い格言は、誰もが知っているでしょう。もちろん、あらゆる場面に当てはまるわけではありませんが、RØDEではこの考えを非常に重視しています。私たちがメーカーとして特別な存在である理由の一つは、垂直統合に注力していることです。これは、多くのマイクメーカーが外部企業に委託している製造工程の多くを、私たち自身で設備投資して行っているということです。通常、この取り組みには莫大な投資が必要になりますが、設備を固定費として保有し、すべての製品で活用できるため、手の届きやすい価格でより優れた製品をお届けできます。
オーストラリア・シドニーにあるRØDE工場で、完成した塗装ラインが稼働する様子をご覧ください3年前、RØDEのシニアエンジニアたちは、社内に自動塗装ラインを開発する可能性について議論を始めました。当時、製品の塗装やコーティングは外部サプライヤーを通じて手作業で行われており、時間とコストがかかるだけでなく、新製品の開発もサプライヤーの能力に制約されていました。そこで私たちは、塗料およびコーティング分野で現在利用可能な材料、機械、最適な塗布工程について調査・研究を開始しました。
初期調査には12か月を費やしました。この期間、さまざまな製品や手順について多くの業界専門家に話を聞き、私たちのマイクにとって非常に望ましい特性を数多く備えた、特別なタイプのコーティングを発見しました。第一に、もともと軍事用途向けに設計されたものなので、非常に高い耐摩耗性を備えています。つまり、傷がつきにくく、極めて高い耐久性を持つということです。また、反射を抑えるよう設計されているため、ステージや放送用途にも最適です。さらに、従来の粉体塗装とは異なり非常に薄いため、HS1 ヘッドセットのようなマイクの非常に細かな部分にも塗装できます。
私たちはすぐに、このタイプのコーティングを使用できる自動塗装ラインを設計・導入することを決定しました。しかし、その取り組みがどれほど大規模なものになるかは、まったく想像していませんでした。もし分かっていたら、考え直していたかもしれません。
セラミックをベースとするこの非常に薄い材料を扱う上で直面した課題の一つは、流体供給ラインと材料が入る容器の中で、セラミック成分が「沈殿」してしまうことでした。その結果、スプレーノズルの細い先端が詰まり、出力と品質に大きな影響を及ぼすなど、工程上および品質上の問題がいくつも発生しました。これを解決するため、特殊なポンプシステムによって材料を一定の温度で流体ライン内に常時循環させ、工程のどの時点でも材料が静止しないようにする、専用システムを設計する必要がありました。
塗布は完全な静電方式で行われます。つまり、コーティングを引き寄せるため、塗装対象の金属に静電気を帯びさせる必要があります。これは従来のスプレー塗装や粉体塗装とはまったく異なり、温度、湿度、空気圧に関してより厳格な要件が求められます。私たちは工場内にラインを収容する独立した建物を建設し、最先端の環境制御システムを導入して、すべてを完璧に管理できるようにしました。
ラインの建設には6か月、導入にはさらに12か月を要し、2013年末には完全に稼働しました。現在に至るまで、これはRØDEが社内で手がけた単独プロジェクトとして最大規模のものです。また、私たちの知る限り、このラインはオーストラリアの大規模製造業において初めてのものです。特に銃器市場では、同様の仕上げを手作業で施している企業もありますが、オーストラリア国内にはこれに類する自動システムは存在しません。世界的に見ても、現在この工程の自動化に成功している企業はごくわずかであり、もちろん、これを実現したマイクメーカーはRØDEだけです。
これにより、RØDE には大きな可能性が開かれました。RØDEのオーストラリア・シドニー工場で、工程のすべてを社内に保ちながら、製品の設計、試作、塗装、組み立てを行い、開発段階から生産まで一貫して進められるのです。RØDE のエンジニアリングチームにとって、これは大きな成果です。しかし、最終的に重要なのはお客様にとってのメリットです。美しく仕上げられ、傷がつきにくく、スタジオでもツアーでも、RØDEを持って行くどこででも一生使い続けられるマイク。
Karl Griggsは2004年にRØDE へ入社し、同社のエンジニアリングマネージャーとして、世界クラスの製造施設を構築する任務を担いました。それ以来、同社工場の拡張を指揮し、3,000万米ドルを超える産業オートメーション設備を導入するとともに、RØDE をプロオーディオ業界のリーダー、そしてオーストラリアで最も先進的なメーカーの一つへと成長させました。その功績は、同社が2013年オーストラリア輸出製造業者オブ・ザ・イヤーを受賞したことにも表れています。